研究計画案第030526号加藤

 

第一案.動物プランクトンの栄養塩リサイクルの局所的効果が湖沼系の生物多様性に与える効果(ZPの個体ベースモデル化に関する案)

 

研究背景と意義

1.湖では主に窒素とリンの2種類の栄養塩が制限となっている

2.従来のモデル研究による予測より、共存できる種数は利用する資源の数に規定される。(Tilman,19xx)

3.しかし上述の予測は自然系における多種の存在と反している。

4.この問題について、空間構造を捕食者によるリサイクルを考慮すると湖での多種共存がモデル的に達成できる可能性がある。

 

目的

動物プランクトンについて個体ベースモデルを構築し、捕食者の局所的な栄養塩リサイクルの効果が多種共存の鍵となることを示す。

 

方法

1.PPに関しては格子あたりのバイオマスを種ごとに炭素量で記述、種間競争と捕食−被食の関係式はAndersen(1997)に準じる。

2.ZPを個体ベースモデルとして記述。

(1)成長と捕食量の算出はAndersen(1997)を元にする。

(2)増殖(個体数増加)は炭素量が閾値を越えた時点で無性生殖を行うと仮定する。有性生殖は考慮しない。

(3)ZPは一定時間で格子間を移動する。移動パターン(アルゴリズム)に関しては別途検討する。

3.格子上をZP個体が移動するようなモデルを考える。

 

作業

1.ZP部分について個体ベース化

 

目標

栄養塩量と栄養塩比率(N/P)についての空間分布と系全体のZP・PPの種構成を観察する。

空間構造を考慮したモデルにて平衡(?) に達したときのZP種数−PP種数について関係性を得る。

二次元の俯瞰平面について空間を考慮する上記のモデルと無次元での群集モデルで結果を比較する。

 

論点

ZPとPPのそれぞれの初期種数が系の生物多様性に与える効果について

ZPの移動速度、物質(とPP)の拡散速度が系の生物多様性に与える影響について

湖の栄養塩負荷レベルが多様性に与える影響について

 


第二案.湖の形とサイズが系の生産性を群集構造に与える影響

 

研究背景と意義

1.湖沼の形やサイズは水の流れに大きな影響をもつ

2.しかしこれまでのモデル研究では湖沼の形やサイズについて十分な注意が向けられていない。

3.また、水の流れが藻類の群集動態にどのような影響を与えるかについてよく分かっていない。

4.これらの問題について流体モデルを用いることで湖のプランクトン群集動態に湖の形とサイズがどのように影響するかを予測できる。

 

目的

湖沼の物理輸送に関して流体計算を用いることで、プランクトン群集動態と空間分布に湖の形とサイズの違いがどのような影響をもつか議論する。

理想的には多種共存に関して何らかの示唆を与えたい。

 

方法

1.PP・ZP各種についてバイオマス濃度を炭素量で記述、動態はAndersen(197)に準拠。

2.湖の物理輸送に関して数値流体(NS:κ−ε)で解く。(現時点では二次元俯瞰平面)

3.湖の形の複雑性についてフラクタル次元の増加を指標として用いる(ことができないか?)

?.流れの「吹き溜まり」と沈降の効果について考慮?

 

作業

(検討中)

 

目標

湖の形の複雑性と生物生産性や共存条件との関係性を得る

湖の大きさと生物生産性や共存条件との関係性を得る

 

論点

湖の形やサイズは湖沼のプランクトン群集動態にどのような影響を与えるか。