湖の透明度シフトについて


●湖の透明度について

 浅く冨栄養な湖沼ではその透明度の安定状態が一つではなく、透明な状態と非透明な状態が何らかの要因によって急激にもう一方の状態にシフトするような例が広く知られている。(Table 1.1)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

●底生植物の働き

 底生植物の存在は透明度を上昇させる働きと、その透明状態を維持する働きをもつとされている。
その効果として以下のようなものが挙げられている。


●シフト要因についてのこれまでの研究によってさまざまな要因が挙げられおり、現在でも議論されている。
 以下のような要因がきっかけとなって透明度のシフトが起きるといわれている。

上記のうち、たとえば栄養塩等は次第に負荷が増加していくにもかかわらず、ある程度の間は変化が見られず突然シフトが起きる。さらに再び元の状態に戻すためにはシフトが起きた点よりもさらに低いレベルまで負荷を下げる必要がある。
 

●では、なぜ湖の透明度変化が連続的ではない(急激なシフト)のか?
 環境の変化が連続的であるとき、それに対する応答が線形でないのはどうしてか?
 

●植物プランクトンと底生植物の資源をめぐる競争に着目する
 次の二つの資源について競争する。

 プランクトンバイオマスが増加するとその分底生植物の利用可能な光の量が低下し、逆に底生植物が増えると植物プランクトンの利用できる栄養塩量が減るために、結果として底生植物の利用できる光の量がさらに増加するというフィードバックが成り立つ(下図)。
 このフィードバック効果が変化の不連続性を生み出す要因なのではないか?

 

●(生産者-生産者-環境)のモデルを考える

植物プランクトンと底生植物の資源(光・栄養塩)利用をめぐる競争系を考る。
しかしこれまで、空間的な問題を取り入れた研究は多くない。そこで空間的視点を取り入れ局所競争を反映させたときに、従来の数理モデル、特にフィードバックの効果について考慮したSheffer(1993)のモデルのように、植物プランクトンおよび底生植物の個体群が不連続なダイナミクスを示すかどうか、またそれぞれのバイオマスの推移が緩衝系のような挙動を見せるかについての追認を行う。

 上の追認を行った後、「環境中の栄養塩の調節者」としての動物プランクトンについての要素を組み込む。
これにより捕食による直接的なカスケーディング効果を注目されがちな動物プランクトンの持つ、湖の透明度への影響の別の側面についての議論を行う。
 

<Scheffer 1993のモデルについて>
・Valuwemeer湖(オランダ)のシャジクモの成長についての数理シミュレーションモデル。
概念図と、モデルの結果(下図)。