●湖の透明度について 浅く冨栄養な湖沼では、その透明度の安定状態が一つではなく、透明な状態と非透明な状態が、何らかの要因によって急激にもう一方の状態にシフトするような例が広く知られている。(Table 1.1) ●なぜ湖の透明度変化が連続的ではない(急激なシフト)のか シフト要因についてのこれまでの研究によってさまざまな要因が挙げられおり、現在でも議論されている。 栄養塩の増加 (Sheffer et al.,1994-;他) 捕食者の影響 (van Donk et al.,1990-; Meijer et al.,1994) 水位の変動 (Engel and Nichols,1994) 嵐による撹乱 (Schelske et al.,1997;他) ●底生植物の働き 底生植物の存在は透明度を上昇させ、またその透明状態を維持する働きとメカニズムをもっている。 ・底生植物による効果 Nutrient limitation (Van Donk et al.,1993; Timms and Moss,1984;他) Allelopathy (Van den Berg et al.,1997;他) Resuspension prevention (Van den Berg et al.,1997;他) Zooplankton sheltering (Van Donk et al.,1993;他) ●植物プランクトンと底生植物の資源をめぐる競争に着目する 底生植物による栄養塩取り込みの効果(Moss et al.他) 植物プランクトンによる底生植物の光の利用に対する制限 プランクトンバイオマスが増加するとその分底生植物の利用可能な光の量が低下し、逆に底生植物が増えると植物プランクトンの利用できる栄養塩量が減るために、結果として底生植物の利用できる光の量がさらに増加するというフィードバックが成り立つ。 このフィードバック効果が変化の不連続性を生み出す要因なのではないか? <→概念図> ●(生産者-生産者-環境)のモデルを考える 植物プランクトンと底生植物の資源(光・栄養塩)利用をめぐる競争系を考る。そこに空間的視点を取り入れ局所競争を反映させたときに、従来の数理モデルによる予測(Sheffer 1993; Xu 1999 など)とどのような違いを生じるかについての検討を行う。 <→Scheffer 1993のモデルについて>