研究計画 ●目的 ・生産者同士の競争は環境の安定性をもたらすか? →どのような条件のもとで周期的変動がおこりうるか? ●モデル 三次元空間について以下の要素を考える. (生産者-生産者-環境) (1)栄養塩 (2)光量 (3)植物プランクトンバイオマス (4)底生植物バイオマス (5)動物プランクトンバイオマス (6)その他 ●各要素についての条件付け 1.栄養塩 (1)水柱に存在しているものについては一定の率で周囲に球状拡散 (2)土壌からの回帰 #湖底面から上方に拡散。同じ高さにおける勾配は一様(?) #底生植物の根から直接の取り込み。(→底生植物) @一般にN:P(重量比)が <10でN制限、>10でP制限になるとされる。 (2.1)窒素 #無機窒素源:硝酸及びアンモニア #窒素固定と脱窒 #外部からの負荷 @その化学特性から、リンに較べて(非人工条件での)外部からの流入の影響が大きい。 (2.2)リン #多くの陸水でP欠乏になりやすい。:土壌に吸着されやすい等のリンの化学特性による。 #湖水中には無機の状態では殆ど存在せず、懸濁体有機リンもしくは生物の死骸などの形で存在し、分解者による溶存無機リンの供給はすぐに消費されてしまう。 →リンの供給(内部負荷)は生物の死滅とその分解に依存している。 ただし、細胞内のリンの多くは難分解性リンであり放出されるまでに時間が掛かる。 2.光量 #格子内の植物プランクトンバイオマスの大きさに従って垂直に減衰していく。 <式> F(L) 3.植物プランクトンバイオマス (1)栄養塩の吸収 <式>Up(N,P) #一定の割合で溶存の栄養塩を吸収する。 →資料:N取り込みについて(「陸水学」p152表8-2) #淡水湖における植物プランクトンの一次生産ではリンが制限栄養素となり易い。 →資料:P取り込みについて(「陸水学」p177表9-3) →資料:温帯湖沼におけるリン制限時の植物プランクトンバイオマスとリン量の相関(「陸水学」p182図9-5) @植物プランクトンのリン取り込み戦略 [1]過剰消費:次回以降の増殖のために必要なリンを確保、貯蓄する。 →資料 :Stewart & Alexander,1971。 [2]低レベル(濃度)リン酸を利用する能力 [3]アルカリ性ホスファターゼの生産 →資料:総論(Jansson et al.,1972) →それぞれの植物プランクトンが持つこれらの戦略の(組み合わせなどの)違いは、系の安定性にどのように影響を及ぼすか? @供給源としての浮遊デトリタスとその分解者についての問題 ((デトリタス+分解者)←プランクトンコロニー形成、ができる?) (2)光の吸収 #その高さにおける光量を利用する。 @強光のもとでは光阻害により一次生産が逆に阻害される。 (3)一次生産とバイオマス <式> (7)移動 物理的拡散以外の生物的要因について。 #[1]密度の高いところから低いところに選択的に移動する。 #[2]栄養塩濃度の高いセルから低いセルに選択的に移動する。 #[3]光量の大きい方向(上)へ移動しようとする。 @優先度は一般的に[3]>[2]であることが知られている。 4.底生植物バイオマス (1)植生 #固定(移動しない) #格子に(存在する/しない)→バイオマス (2)一次生産とバイオマス <式> (3)栄養塩の吸収 #溶存の栄養塩を吸収する。 #不足分について土壌からも吸収する。 →デトリタス&分解者についての問題 (4)光の利用 @死亡した植物体は時間とともに栄養塩に還元される →栄養塩の拡散 5.動物プランクトンバイオマス (1)捕食 #植物プランクトンバイオマスの大きさに応じて捕食する量が変動する。 →資料:「陸水学」p308、Burns,1969 #体組織の栄養塩構成比による餌への選好性 →資料: (2)排泄 #体組織の栄養塩構成比に従う。 →環境中の栄養塩構成比を調節する? (3)移動 #植物プランクトンバイオマスの大きな方に移動する。 (4)呼吸・死亡 (5)増殖 6.その他の項目 (1)三者系以上の場合、特に高次のカスケード的な効果。etc.) (2)水の移動(対流、循環等) (3.1)水温の影響(現実的には殆どのパラメタに何らかの形で影響しうる) (3.2)季節による変動(年周期変動) 栄養塩の系外からの流入/流出(人為的富栄養化についても?)