“Miracle High”そのに

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2nd : Bestial Invasion
魔獣

トーア・ローテソンが今の今まで、『実戦』を全く経験してこなかったというコトはない。
学生なのでまだ見習いではあるが、一端の『魔術師』らしく、目の前に広がるこの森から飛び出して田畑を荒らし人々を襲う『野獣』を、ソレなりの回数は仕留めた経験がある。
狼だろーが熊だろーが、行動パターンを先読みした上で魔術を命中させればなんとでもなるのだ。
「でも流石に、コイツはちょっとね……」
ソレが今日は。
今日に限っては。
その『魔術』の命中をモノともしないヤツが相手なんて、モノの見事に未経験。
実は内心、かなり「どーしろってんだよ???」とか言いたい気分。

でも、やるしかない。

(初歩レヴェルでダメでもっ……!)
中位以上ならどーだ、ヘタすると人殺せるので今日び魔術学院じゃ教えてくれないけど。
トーアは同じリカレス魔術学院に在籍していた頃から圧倒的な才覚を表していた兄フレイ(失踪したらしいと噂の人物)からそのレヴェルの物理魔術も学んだので、実はほぼ一通り使いこなせる。
――しかし。
(問題は、どーやって使うかだけど……)
雷撃の属性を持った初歩の物理魔術『稲妻』をモノともしなかった巨大な獣とトーアは、未だ10mの距離を挟んだまま、ドチラが先に仕掛けるともなく対峙し合っている。
睨み合う視線が交錯し、無言の重圧が両肩に圧し掛かる。
(時間が稼げるかどーか……?)
最初の接近の時に分析していたが、この獣はその巨大さ故に決して速くは動けない。
今の10mの間合いを維持すれば相手からは一切攻撃受けないだろう。
――しかし。
まだ未熟な魔術師に過ぎないトーアが威力の大きい中位以上の魔術を行使するには、初歩レヴェルよりも十分に長い時間、そして更に強度の意識集中が必要になる。
初歩魔術みたいに相手の攻撃警戒して間合い取りながら連発、ってな訳にはいかない。
(………動く、か……?)
狼頭の巨大熊の太い右腕が、僅かに後方にスウィングする。
来るか、と警戒。
トーアも、相手を中心として円を描く要領で動き始める。
コチラもやっぱり兄直伝、東洋の拳法みたいな間合いの取り方だ。
相手が直線的に向かって来ればかなり確実にその軌道を外せる。
同時に、牽制目的なら無いより全然マシの初歩魔術を準備し始め――

「なんなんだよこの化物ッ! 兄貴返せーーーーーッ!!!!!」
「はい?」

――神経戦の最中、脇からミラが割り込んで来た!
「ファイアーーーーーっ・ボールっ!!!!!」
「ちょっ、、、、、、、ミラっ!!???」
驚く以外の選択肢、皆無。
ソレもタイミング的に唐突だったとかそんな理由じゃなく。
ミラが撃った『火球』は――初歩レヴェルの魔術に違いないハズなのに――

――信じ難いほど巨大だったのだから。

火の玉の直径が見たカンジ3mくらい。
通常は30cmくらいだから、マジ在り得ない!

「行けーーーっ、殺っちゃえッ!!!!!」
術者の絶叫に後押しされるように『火球』は、巨大な獣に襲い掛かっていく!
しかし――
「当たれーーーーーーーッ!!!!!」
――その叫びとは裏腹に、タダでさえ巨大な標的の更に遥か頭上を通り過ぎて行った。
「………………あれ?」
「……ミラ、ちゃんと相手狙った?」
たぶんそーゆーオチなんだろーなとトーアは思っていた。
なんせ、実践の授業でもミラの魔術命中確率は極めて低かったのだから。
「えっと、狙うも何もイキナリ使っちゃったから……」
「そう、やっぱりね;」
コレがミラ=クレット・ハイランダーの基本原理か。
とは言え、特にコレといった準備もなくイキナリ使ってアレほど絶大な威力の魔術になるのって、ある意味凄い。
「ま、次はちゃんと集中して狙ってね?」
だからこそ「もしもアレが当たれば」なんて期待を、トーアは確かに抱いた――
「えーーーっ、でも集中してるうちにアイツ動いちゃうよーーーっ?」
「んなっ;」
――が、ミラに一瞬で撃ち砕かれた。
「そっ、そりゃ動くでしょっ!!???」
当たり前だろタダの的じゃねーんだよ今更何寝惚けたコト抜かしてやがんだこの腑抜け小娘がッ! なんて柄にもなく乱暴な言葉で怒鳴ってやりたくなるのは、抑えて。
トーアは強引に微笑んでみせる。
「大丈夫!とにかく落ち着いて、安心して狙って。僕がアイツの注意引き付けとくから」
あの獣が到底当たりもしないミラの超巨大『火球』にかなり気を取られていたのを、トーアは短時間のうちに確認していた。
ヤツは動きも鈍ければ頭も鈍い、と確信していた。
だからこそ、だ。
「おっけートーア。ソレじゃ、お願いっ!」
「うん……」
ミラがドコか楽しげに微笑み始めてたのが気になったが、ソレはソレとして、強く肯く。

覚悟決めろトーア・ローテソン、or死。

「こっちだっ、化物ッ!!!」
再び円を描く移動を始める。
徐々に速度を速めながら。
同時に、軽めの初歩魔術を準備し始めて。
獣はトーアの声に呼応したのか、重々しい動作で向きを変え始めている。
「ライトニング!!!」
ズギャンッ!!!!!
歩み始めようとした獣の右足の寸前、『稲妻』が大地に突き刺さる!
トーアの技術と魔法力なら、初歩的な魔術を4〜5秒、無理すれば2秒に1発のペースで連発できる。
準備時間が長く取れないため1発あたりの威力は低下するが、相手がこんな非常識に巨大な化物でなければ、そんな軽めの魔術でも3、4回の直撃で仕留められる。
「ファイアー・ボール!!!」
ゴゥアッ!!!!!
今度は右の肩口あたりを掠めるよーに『火球』。
もちろんミラがイキナリ放った3m級には遠く及ばない、直径30cm程度。
でも、コレくらいで牽制には十分だ。
「ライトニングっ!!!」
ズヴァッ!!!!!
更に立て続けの『稲妻』。
今度は左足の直前に突き刺す。
狙いは同時に何通りかコース思い描いて、撃つ瞬間にその中から1つ選択する。
だから1発1発それぞれ改めて狙い定める時間掛けなくても正確に撃てる。
そもそも狙い定めてないミラみたいに大外しとかって、在り得ない。
「グガァッ……!」
巨体の脚の動作がほんの一瞬、止まる。
狙い通りに。
「まだだっ、次行くぞっ!」
わざわざ「当てなかった」『稲妻』『火球』『稲妻』に続いて、
「エア・ブラストっ!!!」
風を操る、初歩魔術。
火と電気に比べれば極めて視認されにくいのが『風』。
媒質を制御する『魔法力』から必然的に生まれる僅かな光以外は、この系統は発しない。
媒質そのものが光を放ってしまう火と電気には決して持ち得ない利点。
雷光に気を取られたヤツは、この『突風』を見落とすコトになる!
「ミラ、今だよっ!!!」
制御する対象が空気でしかない分だけ威力は低く、決定的なダメージにはならない。
が、『突風』は確実に巨体の足下を揺るがし、直立歩行のバランスを崩す!

この、脚の止まったタイミングに、狙いを定めたミラの攻撃魔術が――

「おっけー今度こそ……ファイアー・ボールっ!!!!!」

ひゅう。
ぽすっ。

――情けない音と共に『獣』の脇腹を軽く撫で、軽く弾かれて消え去った。

「………………あれあれ?」
効果の程は、撃った本人&受けた本人に訊くまでもないか。
「グルルゥッ……!」
ミラが首を傾げる視線の先、巨体が空気と大地を震わせて、平然と体勢を立て直す。
一方でトーアが呆然と立ち尽くす。
「おっかしーなァ……?」
「いや、ドコもおかしくなんてナイデスよミラさん???」
つまりアレか、厳重に狙うだけ狙う一方で魔法力は全然集束してなかったとかゆーオチか?
彼女はアルティナ先生の授業で一体何を聴いてるの……か。

「あーもぅっ!!!!!」
振り切った。
やるしかない――自分1人で。
アテにならないミラを差し置いてでも。
やるしか――

「グガアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
「なっ…………!!???」

――『獣』が、一際盛大な咆哮を上げた。
その圧力が暴風となって周辺一体に吹き荒ぶ!!!
「きゃあっ!!???」
か細いミラの悲鳴なんて瞬時に掻き消される。
巨体の向こうでは北方特有の鋭い針葉樹の太い幹が大きく揺さ振られている。
足下では積もった雪が舞い上がり地吹雪と化している。
そして、巨大な『獣』の咆哮は当然ながら低く重いので、大地も地震みたいに揺れている。

改めて、『野獣』と『魔獣』との『格』、いや『桁』の違いを――思い知らされる。

「どーしろってんだよっ……!!???」
トーアは思わず両腕を交差させて咆哮の風圧を防ごうとする。
その向こうに、巨大な『獣』の2つの眼が鮮血のように紅く光るのを見る。
更に、その2つの眼のすぐ下に――
「うげッ……!?」
――新たな眼が左右1つずつ開くのを見てしまう。
いや「開いた」とゆーより、身体の奥から新たに「生み出されてきた」かのような……!
とても食事時には見たくないし思い出したくない挙動だ。
「化物っ…………!!!」
コレでもかってくらい分かりきってるコトを思わず声に出して確認。
余りに非現実的……とゆーよりかは、現実だなんてとても思いたくない光景。
なのに大地を伝って来るヤツの咆哮の残響が余りにも重く鋭い。
胸の中で自分の脈拍以外の振動が心臓を揺るがしてる感触が余りにも生々しい。

(落、ち、着、けっ……!)

でも、自分がやらないで一体ドコの誰がやるのかと。
少なくとも噂のフレイ・ローテソンはこの場にはいないのだから。

巨体の遥か高みに在る合計4つの眼に見下ろされながら、トーアは兄の姿を思い浮かべる。
(こんな時フレイ兄さんなら……兄さんならきっと冷静だっ……!)

「ストーム・メイカー!!!!!」
僅かな集中で新たな魔術、『嵐を生む者』を唱える。
僅か2〜3分の間だが、その名の通り嵐の力を以って術者の移動速度を飛躍的に上昇させられる魔術だ。
嵐、即ち『風』は本来なら攻撃属性なので、身体への負担も大きいが。
(とにかくアイツの注意惹き付けなくちゃ……!)
無謀にも『獣』に背を向け、トーアは一直線に走り出す。
決して安全策とは言えない『風』の力を帯びて、普段の4倍以上の速さで!
「追って来いよっ!!!!!」
魔術で遠隔攻撃できる以外にトーアが持つイニシアティヴは唯一、脚の速さだけ。
ソレを更に確実にするための、『嵐を生む者』。

――耐久力と攻撃力は高いけど速くない相手に対抗する方法は1つ、
――脚の速さで間合い稼いで追い着かれる前に強い魔術撃って一撃で仕留めるっ!

フレイから学んだ戦術はアタマとカラダ両方で覚え込んでる。
だからこそ危機下でも自然と戦い方を思いつき、その通りに動ける。
「ライトニング!」
仕切り直しとばかりに、巨体の足下付近に『稲妻』1発。
コレで近くのミラじゃなく目立ってる僕に反応しろ、とトーアは目論む。
「ギャガアッ!!!!!」
その思惑通りに、『獣』は彼を追い始める。
先程よりも重々しく進む1歩1歩の時間間隔が確実に縮まり、移動が速くなっているのが分かる。
4つに増えた眼が魔獣の能力を増大させているのか。
「ちょっと、、、トーアっ!!???」
次の魔術準備中なのでミラの声を気に掛ける余裕などない、無視して走り続ける。
『獣』が確実にスピード上げてるからには、コチラも全力で走るしかない。
少し高度な技術だが、走りながら強度に精神集中して中位魔術を行使するしかない。
そーゆー練習を念のため続けといた成果が今、必要とされている。
「行くぞっ――」
10秒走ってる間に準備完了、振り向き様に撃とうとするが、しかし。
敵は足下にも潜んでいた!
「――――――!!!!!」
敵とゆーより罠か。
薄い粉雪の表層の下、固く硬く凍り付いた圧雪が待ち構えていた。
「嘘ッ!!???」
足を滑らされる。
踏み止まれる訳が無い、更に風の力が速度を増大させるのだから尚のコト!
(マズぃっ……!!!)
小さなトーアの身体は無駄に勢い良く投げ出されて、その先に積もり重なった雪の中にダイヴ。
当然、こんな事態になって魔術に意識集中してられる訳が無い!
「サ・イ・ア・ク……!」
集束された魔法力も定められた軌道と狙いも全部、綺麗さっぱり0までリセット。
ただ、投げ出された先がまたしても雪の中で、ケガしなくて済んだだけマシ。
「トーアっ……!!???」
もはや距離が離れたミラからはトーアに起こった事態が見えてない。

ズン!
ズン!!

『獣』は既にして、そのミラよりもトーアに近い位置を歩いて来ている。
明らかに足音1つ1つの間隔が狭まっている。
積雪に救われたトーアの幸運も束の間か。
「はわわ……どーしよっ……!?」
実戦経験の無いミラは取り乱す。
「トーア助けなくちゃっ……!」
でも最重要なコトだけは確かに自分に言い聞かせる!
再び、地面を蹴る。
走り出す。
『獣』を追い始める。
が、
「……って、ちょっ、、、速っ!!???」
巨大な『獣』は意外なまでに速い。
何故急激にこんな速くなったのか、ヤツの眼が4つに増える瞬間を見てなかったミラには分からない。
距離は縮まるどころか開いていく。
少しずつ、でも確実に……!
「あーーーもーーーっ、いーかげん止まりやがれこの×××野郎ッ!!!!!」
到底追い着けそーもなさげで、2秒で痺れ切らしてミラはブチキレる!
なんでもいーからとにかく手当たり次第魔術撃ちまくる!
「ファイアーボールっ!フリーズダストっ!エアブラストっ!ライトニングっ!」
強大な破壊力を秘めた炎と氷と風と雷撃が『獣』の背後目掛けて次々と飛び交い――
「当ッたれーーーーーーーーーッ!!!!!」
――次々とその軌道を逸らして行く。
(ぇー……?)
トーアより更に短い間隔で、トーアとは比較にならないほど強大な魔術を撃ちまくるミラ。
しかしそのうちのたった1発さえも『獣』に当たる気配はなく――

ズギャヴァンッ!!!!!!!

「ヲィコラちょっとミラ!!!!!」
――ソレどころか在ろうコトか、倒れ込んだままのトーアのすぐ脇に『稲妻』が突き刺さる!
「どーしてあんな大きいのに当たらないで僕に当たりそーになるかなあっ!!???」
なんか恨みでもあんのかテメエ?とか思いながら立ち上がろーとすると、
「…………!」
たった今まで当たってた太陽の光が、影に遮られる。
巨大な存在が間近に来ている証拠だ。
顔を上げれば紅く光る4つの眼が、ほとんど垂直な高みから自分を見下ろしてる!
「くっ……!!!」
「グヴァアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
獲物を前に勝ち誇るような、四眼の巨獣の咆哮。
絶対的絶体絶命の位置関係。
でもトーアはまだまだ、まだまだ最後の手段を考えていた。
(左手で魔法が使えたなら、原理的にはっ……!!!)
片膝を突きながら左手で右肘の内側を握る、様々な『力』を込めて。
魔法力の集束が間に合うか相手に踏み潰されるのが先か?
しかし『獣』は、待たない。
家の柱より数段太そーな右腕を、太陽を掴もうかってくらいに高く振り上げている!
(まだだっ……あと2秒っ……!)
そんな時間までヤツが待ってくれる訳ない。
死亡、覚悟――

「テメエこの化物ッ、トーアから離れろーーーーーっ!!!!!」
「ミラっ!!???」

――しかしミラが『獣』の背後から迫り、
「エア・ブラストっ!!!!!」
瞬時にして魔術を放つ!
よりにもよって本来なら彼女が最も苦手なハズの『風』が、今回は明確に彼女の意志を帯びて、『獣』の巨体を捉えている。
「……嘘っ!?」
しかもまたしても、あの初歩レヴェル離れした尋常じゃない威力っぽい。
なんたって、この属性の魔法力特有の緑白い輝きが強く見えるなんて、普通このレヴェルじゃまず在り得ないのだから。
『突風』は光を伴って、『獣』の図体全体を大きく揺るがしていく!
「離れろっつってんだよっ!!!!!」
足を止められた『獣』が、何事かと振り返る。
「……って嘘マジっ!? 効いてないっ!!???」
しかしやっぱりモノが『風』だけに、特に重量級の相手に対して決定的なダメージにはならない。
殺れるという確信を覆されたミラを追い詰めるように、4つの眼が睨み下ろす!
「……う゛っ;」
瞳孔の所在が定かでない2対の紅眼が、彼女の背筋を凍て付かせる。
「わっ、、、私踏み潰しても美味しくないよっ?」
人間相手にも意味の通り難いセリフを『獣』相手に叫びながら、思わず1歩後退する――
(………今だっ!)
――が、彼女の援護はヤツの意識を確実にトーアから逸らしていた。
(背中ガラ空きだぜ、バカ化物!)

「サンダー・ブレイドっ!!!」

目一杯まで集束した魔法力を「両腕から右手に」一気に伝達させる。
微かに残ってた『嵐を生む者』の力を解放して生まれた絶大な反動を受けて、超高速で立ち上がり跳び上がり、
「うわあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
鋭利な『刃』と化した雷撃の束で、一気に斬り付ける!

ズヴァッ!!!!!!!

刹那の一閃。
それは確実に『獣』の巨体を捉え、斬り裂く!

「えぇっ……!」
向こう側にいるミラの目前で、『獣』は4つの目の中央から真ッ二つに斬り裂かれる。
左半身と右半身が相互にタイミングを外して崩れ落ち始める。
「……トーアっ……?」
『獣』を『魔獣』足らしめていた黒い気配が、冷たい空気の中に薄れていく。
あの圧倒的な巨体もまた、無数の泡を吹いて嘘みたいに空気に溶かされていく。
「はーーー……」
不思議な死に方をするのだな魔獣は。と思いながら、トーアは大きく肩で息をする。
直後、その肩を中心に全身で張っていた力が、一気に抜けていく。
「あうぅ……;」
「トーアっ……!!!」
(ミラ……っ;)
思っても、声に出せなくなった。
っつーか、身体から力が抜けるのと同時に頭から意識も抜けてくみたいだ。
慣れない魔術の使い方、強引な魔法力の使い方が、平常時とは比較にならないほどの負担をトーアの身体と精神に及ぼしていたらしい。
てか、ヤバい。
 眠
い。

ミラが駆け寄って来るよーな姿が見えたのと同時にトーアの意識は途切れた。



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